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個人M&Aで会社を買う流れを徹底解説!

更新日:2月6日


近年、個人(サラリーマン)が会社を買って、起業・副業する事例が増えてきています。


実際に、看護師を辞めてウェディングドレスショップを買収した人や、サラリーマンを辞めて学習塾を買収した人など、個人M&Aと思われる事例が見られるようになりました。


しかし、M&Aがしやすい環境が整ってきたとはいえ、どのような流れで手続きを進めていくのかなど、わからないことも多いですよね。


そこで今回は、個人がM&Aで会社を買うまでの基本的な流れを、3つのステップに分けて詳しく解説していきます。


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3つのステップで理解! M&A成功までの流れ

最近は、M&Aマッチングサイトの普及もあり、個人(サラリーマン)でも、簡単に買いたい会社や事業を見つけられるようになりました。希望の業種や譲渡価格、会社所在地などの条件を絞り込むだけで、誰でも簡単に見つけられます。


しかし、あらかじめ流れを理解しておかなければ、スムーズに交渉を進めていけないだけでなく、買収後に想定外の事態を引き起こす要因を作りかねません


そこでまず、個人がM&Aを実行する流れをお伝えしていきます。

  1. イメージ作りと事前準備

  2. 交渉と分析

  3. 条件提示と成約

まず前提として、個人がM&Aを実行する場合、自分の力だけでも十分成功させられます


もちろん、随所で専門知識が必要な場合もありますが、正しい流れを理解しておけば問題なく進められるでしょう。それでは、上記の流れに沿って、詳しく説明していきます。


個人M&Aの流れ①:イメージ作りと事前準備

個人M&Aの流れとして最初のステップは、買収したい会社や事業のイメージ作りと事前準備から始めましょう。


ここでイメージをしっかり作っておかなければ、重要な判断ができなくなり、条件交渉の際、不利になることもあります。


しかし、「買収したい会社や事業のイメージ作り」といわれても、何から始めていいのかわかりませんよね。そこで、買収したい会社のイメージ作りをより具体的にする方法を、以下で詳しく紹介していきます。


買収したい会社のイメージを作る

買収したい会社や事業のイメージ作りをする際、以下の3つの視点で考えてみましょう。

  1. どの業種にするか

  2. 規模をどの程度にするか

  3. エリアはどこにするか

まず業種ですが、少なくとも3つはリストアップしましょう。


自分の経験を活かせる業種はもちろん、興味のある分野や、成長性がある分野でも構いません。後になって、なぜその業種を選んだのかを、明確に回答できるようにしておくといいですね。


続いて規模も重要です。ここでいう規模とは、会社(事業)の売上や従業員の数などです。


規模が大きくなれば、必然的に譲渡価格は高くなっていきます。その際、自己資金で対応できる金額であれば問題ありませんが、場合によっては借入れを検討する必要もあります。


もし借入れを検討される場合、どの金融機関から借りるかや、今の自分の信用度でいくら借入れが可能なのかを事前に調べておくといいでしょう。


最後に、買収対象となる会社(事業)のエリアもしっかりと確認しておきます。ここで大切なことは、「本当に働けるエリアなのか?」です。


たとえば東京在住で、買収対象の会社が九州地方であれば、転居する必要も出てきます。仮に東京に居続けても、事業運営をし始めて、トラブルが発生した場合は、すぐに出向かなければなりません。


初めての起業または副業であれば、なるべく現在の居住地周辺で案件を探すといいでしょう。


M&Aマッチングサイトを活用する

冒頭でも少し触れましたが、最近はM&Aマッチングサイトが普及し、誰でも簡単に会社や事業の売却案件を見つけられるようになりました。


ここでは、個人M&Aを実行するにあたって、特におすすめのマッチングサイトを紹介していきます。

  • BATONZ(バトンズ)

  • TRANBI(トランビ)

  • スピードM&A

どのM&Aマッチングサイトも登録は無料。まだM&Aで起業・副業をするか悩んでいる人であっても、案件を探すだけでも勉強になるため、登録しておいて損はありません。


なお、本気でM&Aに取り組みたい人は、登録情報を可能な限り充実させておいた方がいいでしょう


M&Aマッチングサイトの基本的な使い方は、買い手である私たちが興味のある案件を見つけ、売り手にメッセージを送るところからスタートします。


しかし、メッセージを送ったとしても、必ず返信が来るわけではありません


人気のある案件は、何人もの買い手候補者からメッセージを受けます。売り手はメッセージの内容と、その人の情報をもとに交渉するか判断します。


メッセージの内容に誠意がなかったり、登録情報が不十分であったりすると、売り手から返信がこなく、当然ですが交渉もスタートしません。


特にメッセージに書いておいた方がいい内容は、次の通りです。

  • 対象案件に興味を持った背景・理由

  • 事業成長のために活かせる知識・スキル

  • 買収予算(譲渡希望金額より高い金額を記載)

この3点は、しっかりと売り手に伝えましょう。


個人M&Aの流れ②:交渉と分析

M&Aマッチングサイトを活用し、気になる案件をリストアップできれば、交渉と企業分析に入ります。交渉と分析をする流れを、以下に示します。

  • 売り手にメッセージを送る

  • ビジネスモデルを理解する

  • 財務諸表を分析する

  • 財務諸表の修正と企業価値評価を行う

以下で細かく解説していきます。


売り手にメッセージを送る

先ほども少し触れましたが、M&Aマッチングサイトは、私たち買い手が売り手にメッセージを送るところからスタートします。メッセージの送り方は簡単で、気になる案件のページに設置されているフォームから問い合わせるだけです。


そしてメッセージを送る際は、必ず売り手への配慮を欠かさないようにしましょう。間違っても「買うのはこっちだから」と、横暴的な内容のメッセージを送ることは避けてください。


売り手としても、何年もの歳月をかけて作り上げてきた会社や事業を売却するわけで、当然思い入れや愛着があります。最低限のマナーや礼節をわきまえて交渉に臨みましょう。


なお、少しでも気になる案件があれば、積極的にメッセージを送ることが、個人M&Aで成功する秘訣です


実は、M&Aマッチングサイト上で閲覧できるのは、会社や事業の一部の情報に過ぎません。売上や利益、会社名などは掲載されていないことが多いです。


この理由ですが、売り手が個人ではなく会社だった場合、M&Aマッチングサイト上に売却情報が事細かに掲載されると、会社(事業)運営上のリスクがあるためです。


たとえば従業員が、自分の会社がM&Aマッチングサイトに掲載されているのを見れば、不安になりますよね?


そのようなことがないように、M&Aマッチングサイト上で誰でも閲覧できる箇所には、限られた情報しか掲載されない仕組みとなっています。


また、多くのM&Aマッチングサイトでは、メッセージを送ると同時に「実名開示」を行います。本格的な交渉スタートは、初回のメッセージを送り、実名開示をしてからとなります。


会社や事業のビジネスモデルを理解する

売り手と連絡を取り、お互い実名開示をした後に、会社や事業の情報を提供してもらいます。ここで初めて、売上や利益、顧客など案件の詳細が確認できます。


売上や利益などの情報も大事ですが、まずは会社や事業のビジネスモデルを理解しましょう


具体的には、集客の方法や、マネタイズのポイントをチェックしていきます。ここでは細かい部分まで知らなくても大丈夫で、大まかな仕組みだけでも理解するようにしましょう。


特に確認しておきたい点が、買収対象となる会社・事業の強みです。


個人M&Aで大事なことは、買収後に今ある会社や事業をスケールさせることです。ゼロから事業を立ち上げるわけではないため、現時点の会社や事業の強みを、買収後にどのように活かすのかを考えてみましょう。


財務諸表を分析する


財務諸表とは、会社の経営状況を客観的に数字で把握する際に必要となる資料です。財務諸表には貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー(CF)計算書があり、これらを財務三表ともいいます。


M&Aを実行する流れにおいて、財務諸表の分析は必ず行われますが、簿記や会計の知識がなければ理解することは難しいです。それでも、起業して事業運営するのであれば、財務諸表は理解できるようにしておく方がいいでしょう。


財務諸表を受け取り、特に注目すべきは貸借対照表と損益計算書が挙げられます。


まず貸借対照表ですが、企業の決算時の財務状況が記載されている書類です。貸借対照表には、会社が保有している現金や有価証券、土地や設備などの固定資産のほか、借入金などの負債も記載されています。


一方で、損益計算書は売上(収益)から、仕入れや人件費を差し引いた利益を知るための書類です。損益計算書には3つの利益があり、本業の儲けを表す営業利益のほか、営業外の収益なども含めた経常利益、法人税など全て差し引いて最終的に手元に残る純利益があります。


たとえば、営業利益は赤字だが、経常利益は黒字の会社があるとします。実はこのような場合、特に注意が必要です。以下の図をご覧ください。

ここで注目すべきは経常利益の概念です。


経常利益とは、「営業利益+営業外収益-営業外費用」で算出される利益です。つまり、この例の場合、本業で赤字になり資金繰りが苦しくなったため、これまでの数年間で溜まった作業くずやスクラップを売却して雑収入が発生し、営業外収益が一時的に発生した可能性があります。


この時、来期以降どのような経営状態になるでしょうか?


来期は、売却できるとしても1年間で発生した作業くずやスクラップとなります。そのため、営業利益が赤字の場合に雑収入で経常利益を黒字にできない恐れが高いです。つまり、営業利益が赤字になる根本的な原因を解消できないと、来期は営業利益も経常利益も赤字になる恐れがあります。


財務諸表を理解できると、M&A実行前に対象となる会社や事業のリスクを把握できるため、勉強しておいて損はないでしょう。


財務諸表の修正と企業価値評価を行う

財務諸表について、気になる点があれば、売り手に質問をしてみましょう。「計算が合わない」や「負債の中身」など、少しでも気になることがあれば、必ず確認しておくといいです。


そして、売り手から回答が得られれば、その内容を踏まえて財務諸表の修正を行います。ここまで完了し、企業価値評価を行います。


企業価値評価とは、買収対象企業の価値を財務諸表などを基に算出することです。企業価値評価によって、算出された価格を売却価格として提示するため、とても重要な作業となります。


そもそも企業価値評価の方法には、インカムアプローチとマーケットアプローチ、ネットアセットアプローチの3つに分けられます。

まずインカムアプローチですが、最もスタンダードな方法としてDCF法が挙げられます。DCF法は、会社が将来生み出すキャッシュフローを現在の価値に変換し企業価値を評価する方法です。


続いてマーケットアプローチは、買収対象企業を市場取引の観点から評価する方法で、PBR法やPER法、EV/EBITDA倍率法などの算出方法があります。


最後にネットアセットアプローチは、買収対象企業の純資産を基準にして企業価値を評価する方法です。具体的な算出方法として、簿価純資産法や時価純資産法があります。


しかし企業価値評価は、状況に合わせて適切な方法で実施しなければならず、難易度が高い作業となります。そのため、個人が全て1人でやり切るにはハードルが高く、企業価値評価を細かく行いたい場合は、専門家に頼る方がいいでしょう。


個人M&Aの流れ③条件提示と成約まで

企業価値評価まで行えれば、売り手に条件提示を行い、成約まで進めます。以下、条件提示から成約までの流れです。

  1. 意向表明書(LOI)を提出

  2. 条件に合意して基本合意書を締結

  3. 最終契約の締結

  4. クロージング

意向表明書(LOI)を提出

意向表明書とは、会社や事業を買いたいということを書面にして売り手に提出するものです。意向表明書に記載する内容は、大きく以下の2つです。

  • 買収価格などの基本的な条件

  • 段取りやスケジュール

意向表明書の内容は、法的拘束力を持たせない内容にすることが多く、売り手はこの内容を見て、どの買い手に会社や事業を売却するか判断することになります。


また、細かい内容として、スキームや諸条件等、企業調査、秘密保持、独占交渉権なども記載します。


意向表明書が受け入れられれば、売り手から必ず「承諾書」を受領するようにしましょう。


条件に合意して基本合意書を締結

基本合意書(MOU)は、売り手が買い手候補から買収の基本条件について提示を受け、特定の買い手候補に絞って交渉を継続することを決定したタイミングで締結されます。


意向表明書(LOI)と基本合意書(MOU)の違いは、意向表明書は買い手候補からの意思表明文書であるのに対し、基本合意書は売り手と買い手候補の合意文書である点です。


意向表明書は、買い手候補から売り手へ一方的に希望を伝えるものであるのに対し、基本合意書は買い手候補と売り手の希望を交渉によって整理し、合意する点が異なります。必要に応じて弁護士などの専門家に基本合意書の内容をチェックしてもらう場合もあります。


基本合意書を締結し、内容に問題がなければ、必要に応じてデューデリジェンスを実施します。


デューデリジェンスとは、企業監査のことで、会社や事業を買収しても問題がないか財務面や法務面、税務面からリスクの洗い出しと問題の解決方法を調査します


また、デューデリジェンスの実施は、M&Aにおいて義務となっておらず、買収対象が小規模であれば実施しないこともあります。


最終契約の締結

最終契約の締結では、これまでの意向表明書や基本合意書と異なり、法的拘束力を持ちます。ここで決めた契約内容は変更できないため、特に慎重に進めていきましょう。


なお、M&Aの実施方法によって最終契約の方法は様々で、株式譲渡であれば株式譲渡契約書(SPA)を交わすことになります。


最終契約では、基本合意書の内容を基に進めていくため、内容をしっかりと把握をしておきましょう。


クロージング

クロージングとは、最終契約の内容を基に、ヒトモノカネなどの経営権の移転手続きのことです。


実際は、最終契約の段階で契約は完結していますが、買収対象企業の保有資産などの所有権の移転手続き等はここで行います。


これにてM&Aの全ての作業が終了となりますが、クロージングの際もトラブルが発生することも多く、事前にスケジュールをしっかり立てておくことが重要です。


無事にクロージングまで終了すれば、あとは会社のシステム統合や従業員に対する社風などの意識の統一を実施します。


M&Aの流れで重要な3つのポイント

ここまでM&Aの流れを解説してきましたが、最後に一連の中で特に重要なポイントを3つ挙げてみました。

  • 仲介業者に依頼すると高い報酬が発生

  • デューデリジェンスは徹底する

  • M&Aに必要な最低限の知識をつける

それでは、以下で詳しく解説していきます。


仲介業者に依頼すると高い報酬が発生

M&Aの実行過程において、仲介業者の利用を考える人も多いと思います。


しかし、M&A仲介業者に依頼する場合、着手金や中間金、成功報酬、デューデリジェンス費用などの手数料全て含めると100~1,000万円とかなり高額となります。個人で100〜1,000万円のお金を出すことは現実的ではないですよね。


そもそも個人がM&Aを実行する場合、最低限の知識をつけておけば、仲介業者を利用しなくても問題なくM&Aを成功させられます


最近では、M&Aのマッチングサイトが充実しており、ネット環境さえあれば、誰でも簡単に案件を見つけることができるようになりました。


売り手となる会社や事業が小規模であれば、組織構造が複雑ではないこともあるため、仲介業者を利用しなくても、問題なくM&Aを成功させることができるでしょう。


デューデリジェンスは徹底する

個人M&Aでも、デューデリジェンスを実施することをおすすめします。もちろん、M&Aの実行において、デューデリジェンスは法的な決まりがあるわけではなく、あくまで買い手の任意となります。


しかし、デューデリジェンスは対象会社/対象事業のリスクを把握するために重要なプロセスです。デューデリジェンスでリスクを把握し、最終契約等でそのリスクをどのようにコントロールするかを決めていきます。仮にコントロールできないようなリスクが発覚した場合は、M&Aを見送りにすることもあります。こうした決断のためにも重要なので、個人M&Aであってもデューデリジェンスの実施をおすすめします。


なお、デューデリジェンスを細かく実施すると、100万円以上の費用が、中には1,000万円以上の費用が発生することも珍しくありません。


そのため、もしデューデリジェンスを実施するのであれば、実施項目を絞った内容にしておくといいでしょう。具体的には、財務のデューデリジェンスのみ実施するなどです。


簡易的かつコストを抑えれば、30~50万円程度でデューデリジェンスは可能ですので、実施しておいて損はないでしょう。


M&Aに関する最低限の知識を身につける

繰り返しになりますが、個人M&Aでは仲介業者を利用しなくても、自分だけで十分M&Aを成功させることは可能です。


それでも、M&Aに関する最低限の知識は身につけておきましょう。具体的には財務・会社法・税務に関する知識です。


また、会社や事業は買って終わりではありません。事業運営を開始し、会社や事業を回し、売上・利益を作ってこそ意味があるわけです。


そして、事業運営時にも財務・会社法・税務の知識が必要な場面は多くあり、M&A実行の流れの中で学んでおいて損はありません。これを機に、経営者として必要最低限の知識を学んでおくのもいいですね。


勉強のやり方ですが、専門書を読むのはもちろん、YouTubeの動画などを活用するのもいいと思います。また、M&Aマッチングサイトで案件を探しながら、学んでいくスタイルも効率的です。


まとめ

今回は、個人でM&Aを実行するための流れを解説してきました。


ただし、ここで挙げたM&Aの流れは、あくまで一般的なものです。状況も違えば、買収対象企業の規模も異なり、その時に応じて最善策を探っていく必要があるでしょう。


いきなりM&Aを実行するのではなく、まずは基礎的な内容でもいいので勉強しておきたいですね。


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