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廃業する会社を買うメリットとは? 相場や注意点まで徹底解説

更新日:2月6日

近年、後継者不足などで廃業する会社が増えています。


このような会社は比較的安価で買えるため、会社を買って起業を目指す方の中で注目を集めているようです。


しかし廃業する会社を買うには、リスクや注意点があるのも事実。


そこで本記事では、廃業する会社を買う手段やメリット・デメリット、さらに具体的にどのように買うのかについて、わかりやすく解説していきます。


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日本は大廃業時代に突入

東京商工リサーチの調査によると、2020年に全国で休廃業・解散した企業は4万9698件で前年比14.6%となったことを公表しています。



2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2000年に調査を開始して以降最多を記録しました。


国内の企業数が約360万社であることから、単純計算で2020年の1年間で1.6%が市場から消滅したことになります。


さらに同調査では休廃業した企業の代表者の年齢を調べており、60歳以上が84.2%、70代が41.7%となりました。


この結果から、事業承継が上手く進まず代表者の高齢化により休廃業する会社が増えていることが伺えます。


国もこのような状況に危機感を抱き、この勢いで中小企業の休廃業が続くと、2025年までにGDPは減少し多くの雇用が失われる懸念があるとし、経済産業省を中心に対応に追われています。


ご存知のとおり日本は超高齢化社会に突入し、今後も後継者不足が原因で休廃業する企業はさらに増えてくることが予想されます。


一方で、経営者側も可能であれば休廃業という選択は取りたくないのが本音です。


特に会社を廃業するとなれば、お金が必要かつ各種手続きなど時間と労力を要します。以下、一般的な廃業手続きの流れです。

これらの一連の流れを完結させるためには、一般的に2~3か月ほどの時間を要します。


また各種登記に約4万円、会社が廃業したという事実を債権者に伝えるために官報による公告費用に約4万円が必要です。


加えてこれらの手続きを司法書士や税理士などの専門家に依頼する場合、別途数十万円の報酬が必要となり、会社を廃業する手続きだけで20万円ほどのお金が必要となります。


もちろんこれらは会社の登記に関するもので、会社の設備の処理やオフィスや事務所の原状回復など必要なお金はまだあります。


さらに清算手続きについては長ければ2~3年要することもあり、会社の廃業には膨大な時間がかかってしまいます。


そのため経営不振であれば廃業せざるを得ませんが、後継者不足の状態であれば、なるべく廃業せずに誰かに会社を引き継ぎたいと考えている経営者は多いです。


そしてこのような廃業する会社を買って、起業・独立を目指す方が少しずつ出るくるようになりました。


実は廃業する会社の中には黒字経営であることもあり、このような会社を買えば比較的安価でかつすぐに利益を得られるメリットもあります。


それでは具体的にどのような方法で廃業する会社を買うのでしょうか?



廃業する会社を買う3つの手段

廃業する会社を買う方法として、以下の3つが挙げられます。

  • 株式を譲り受ける

  • 事業を譲り受ける

  • 会社分割で一部を取得する

それぞれについて以下で詳しく解説していきます。


株式を譲り受ける

廃業する会社の株式を一定数以上取得して、経営権を握る方法はM&Aで最も多く活用される方法です。


株主の権利は保有している株式数に応じて変化し、保有株式が多くなるほど発言権が強くなります。そして保有株式数が一定数を超えると会社の経営権が握れます。


株式を譲り受ける際、多くの場合は金銭でのやり取りとなりますが、個人事業主では株式の譲渡が行えないため買われる側は必ず法人となります。


事業を譲り受ける

会社の事業を譲り受けることを事業買収といいます。


こちらは先ほどの株式を譲り受ける場合と異なり、会社の一部の事業を譲り受ける形となるため、経営権を握れません。


つまり買われる側の会社は事業が譲渡されたとしても存続し続けます。


個人でM&Aを実施される場合は、この事業を譲り受けるという方法も検討しておくといいでしょう。


なぜならば、事業を譲り受ける場合は買う会社の資産や負債を選択することができ、譲り受けたくない負債について引き受けなくても大丈夫なためです。


株式を譲り受けると会社の資産負債関係なく全てを買うことになり、仮に財務体質が不健全の場合、過剰な債務を抱えて事業をスタートしなければなりません。


ただし事業を譲り受けるためには、株式を譲り受ける場合に比べて手続き等が複雑になることを理解しておきましょう。


会社分割

会社分割とは事業の全部もしくは一部を、他の会社に譲渡させるM&Aの手法の一部です。会社分割は大きく分けて吸収分割と新設分割があります。


まず吸収分割はある会社の事業の一部を、すでに存在する会社に移す方法です。一方で、新設分割は、新しく設立した会社に既存の事業を移す形となります。


会社分割は事業を譲渡する場合と似ていますが、明確な違いとして売買契約書が必要かどうかです。


事業を譲り受ける場合は、買い手としては形式上会社を買うことになるため売買契約書を交わします。


一方で、会社分割の場合は会社を買うわけではないため、売買契約書などは必要ありません。


なお個人M&Aを実行する場合は、株式譲渡か事業譲渡が一般的です。廃業する会社を買う場合もほとんどがこの2つとなるでしょう。


会社分割となると、組織再編行為となり会社法や税務関連でやや複雑になるため、会社同士のM&Aでもあまり一般的な方法ではありません。



廃業する会社を買う5つのメリット

それではここから、廃業する会社を買う5つのメリットを紹介します。


実は廃業する会社を買うメリットは安く買えるだけではありません。特にこれから起業を検討されている方でしたら、ゼロから会社を立ち上げるよりも早く売上を立てられます。


以下で詳しくしていきます。


比較的安価で会社が買える

先ほど触れたとおり、廃業する会社の経営者の多くは登記や各種手続きで時間と労力が割かれます。


そのため買い手が見つかればすぐにでも売りたいと考えていることが多く、売却価格が比較的安価であることが多いです。


では肝心の売却価格の相場はというと、業種や経営状況により異なりますが、サラリーマンの方でも充分に買える範囲です。


中には100万円前後の売却希望額を提示している場合もあります。


ただし売却価格が低いからといって安易に手を出すのは危険です。廃業する会社を買う場合は企業価値評価を必ず実施しましょう。


具体的には会社が保有している資産の時価合計額から、負債を差し引いて企業価値を算出する時価純資産法や、会社が将来生み出す価値をキャッシュフローで推計し、資本コストを割り引いて算出するDCF法などがあります。


なお100万円前後で買える会社については、別ページで詳しくまとめています。気になる方はぜひチェックしてみてください。



また近年の後継者不足で買い手有利の状況からか、100万円以下、中にはゼロ円で会社が買えてしまう事例も出ています。


ゼロ円で会社を買う方法や、事例については以下のページでまとめていますので、気になる方はぜひチェックしてみください。



ゼロから起業するよりも早く利益が得られる

ゼロから事業を立ち上げようと思うと、利益が得られるまでに相当な時間と労力を要します。中には資金繰りが上手くいかず、数年で会社を畳む場合もあります。


この点、廃業する会社を買うことで、すでに事業が存在することからゼロから事業を立ち上げるよりも大幅に時間と労力が削減できます。


また廃業する会社の多くは黒字経営を続けているが、後継者が見つからず泣く泣く廃業を検討せざるを得ない状況であることも多いです。


もちろん赤字経営の会社であっても、買収後の運営次第では黒字転換も十分可能です。


いずれにせよ、すでに事業があることから買収した直後に売上が発生し、マネタイズまでのハードルは低くなります。


また廃業する会社の規模によりますが、従業員を抱えている場合もあります。


こちらもゼロから会社を立ち上げれば、従業員を採用し教育して一人前になるまで相当な時間とお金がかかります。従業員の採用・教育コストの削減も廃業する会社を買う大きなメリットですよね。


顧客や仕入れ先の確保

廃業する会社を買う場合、これまで会社と関係が構築されてきた顧客や仕入れ先も引き継げます。


ゼロから会社を立ち上げる場合、実績も少ないため信用が低く、顧客や仕入れ先の獲得に苦労を要します。


会社経営において信用はとても重要で、融資を受ける場合も特に注視されるポイントです。


たとえ廃業する会社を買うことになり、経営者が変わっても顧客と仕入先との関係構築ができていれば、買収後も引き続き関係性を保てます。


会社のノウハウや技術が手に入る

廃業する会社であっても、これまで何十年と経営を続けてきた実績もあり、ノウハウや技術を持っているはずです。

たとえば、その会社にしかできない技術や、ある特定の分野に非常に長けたノウハウを持っているなど、長い間試行錯誤をした結果生み出されたものも多くあるでしょう。


廃業する会社を買うことで、これらの貴重な財産が手に入ることは大いにメリットとなるはずです。


節税対策ができる

法人を設立すると節税対策ができるということを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 事実、廃業する会社を買う場合でも節税対策は可能です。


企業が利益を出すと法人税を支払わなければなりませんが、赤字であれば納税義務はありません。


しかも赤字については一定期間において、将来の黒字と相殺できる繰越欠損金として計上できるため、買収した直前までは赤字で、買収後に黒字転換した場合に納めるべき税金が抑えられます。


ただし繰越欠損金については、どのような場合でも引継げるわけではないため、買収する前に必ず会計士や税理士などの専門家に確認しておきましょう。



廃業する会社を買う2つのデメリット

メリットがあればデメリットもあります。ここでは廃業する会社を買うデメリットとして2つを挙げてみました。

  • 簿外債務が見つかる可能性がある

  • 従業員が退職してしまう可能性がある

以下、細かく解説していきます。


簿外債務が見つかる可能性がある

簿外債務とは貸借対照表に載っていない隠れた債務のことです。


中小企業の多くは現金主義の考え方に基づいて会計処理を行っていることが多く、支払いが発生していない費用については財務諸表(貸借対照表)に計上していない可能性もあります。


具体的にはリース契約をしていた場合に発生するリース債務、会社が他人や他社の債務保証をしている場合に発生する債務保証損失引当金などです。


このような簿外債務を引き受けないためには、買収前にデューデリジェンス(DD)をしっかりと実施しておきましょう。


ただしこのデューデリジェンスは難易度が高く、専門的な知見を持った方でなければ行うことは難しいです。

多少費用をかけてでも、デューデリジェンスは実施しておきたいですね。


なお個人M&Aにおけるデューデリジェンスの詳細については、別ページで解説しています。


そもそもデューデリジェンスとは何か? またかかる費用など書いていますので、興味があればご覧ください。



従業員が退職してしまう可能性がある

廃業する会社を買うメリットの部分でも触れましたが、会社を買うことで従業員もそのまま引き継げます。


しかし従業員との関係構築ができていないと、買収後に従業員が退職してしまい事業が立ち行かなくなることも考えられます。


実は会社を買う上で従業員との関係構築はとても重要な部分です。


買収前に現場に出向き、経営陣だけではなく従業員の方とも自分の経営方針などをしっかりと伝えておきましょう。


間違ってもお金を出して会社を買うのは自分だから、と横暴的な振る舞いをすることは避けましょう。


ここまで廃業する会社を買うメリットとデメリットを中心にお伝えしてきました。


それでは具体的に、どのようにして廃業する会社を買うのでしょうか? 以下で廃業する会社を買う方法を挙げていきます。



廃業する会社を買う方法は?

廃業する会社を買う場合の方法として、ここでは3つの方法を紹介します。


まずは近年盛り上がりを見せているM&Aのマッチングサイトの活用です。


M&Aのマッチングサイトを活用する

近年、後継者不足で廃業する会社が増え続ける現状を受け、M&Aのマッチングサイトが広まっています。


M&Aのマッチングサイトとは、WEB上でM&Aの案件を誰でも無料で閲覧できるプラットフォームで、売り手も買い手もどちらも気軽に利用可能です。


しかし気軽にM&Aのマッチングサイトを利用できる一方で、プロのM&A仲介業者やアドバイザーなら事前に把握できた、もしくは防げたような問題がM&A後に発覚することも多発しています。


つまりM&Aのマッチングサイトが気軽に利用できることが、M&Aで成功しやすくなったとはいえないのです。


この点を補うためには、事前にM&Aに関する知識を付けておく、もしくはM&Aの専門家にアドバイスをもらっておくといいでしょう。


M&Aの仲介業者に依頼する

M&Aの仲介業者とは、買い手と売り手(企業)の間に立ち、双方の希望を擦り合わせながらM&Aの成約までをサポートする専門の会社です。


仲介業者に依頼すると、売り手である企業の財務調査や全体のスケジュール管理、手順の提示まで実施してくれます。

ただしM&Aの仲介業者に依頼する場合、M&A成功時に支払う報酬が2,000万円など、個人では手が出しづらいことが現状です。


そのため個人M&Aで廃業する会社を買う場合、小規模な会社であれば、自分で知識を付けて適時専門家に頼る方針の方がいいともいえます。


ただしあくまで最低限のM&Aに関する知識を付けるということが大前提ですね。


後継者人材バンクを利用する


2011年に中小企業庁が設置した事業引継ぎ支援センターの中に後継者人材バンクがあります。


後継者人材バンクは、起業を目指している個人でも登録可能で、売り手と買い手の双方で条件が合えばM&Aが成立します。


また同時に事業引継ぎ支援センターのサポートを受けられます。個人でM&Aを実行しようと考えている方はぜひ活用したいサービスの一つですね。


ただし公的な支援とはいえ、必要に応じて専門家を手配するとその際に費用がかかることを理解しておきましょう。


それでもM&Aの仲介業者に依頼するよりもコストを下げられるため、利用する価値は大いにあるといえますね。



ここに注意! 廃業する会社を買うための3つのポイント

それでは最後に廃業する会社を買うための3つのポイントをお伝えしていきます。


特に廃業する会社を買う場合、経営状態がいい会社買うよりも注意して見ておくべきポイントがいくつか存在します。

ここでは廃業する会社を買うポイントとして、以下の3つにまとめてみました。

  • 財務状態は健全か?

  • 廃業する理由を明確に把握したか?

  • 債務超過をしていないか?

以下で細かく解説していきます。


財務状態は健全か?


廃業する会社を買うわけですので、まずは財務状態が健全か確認しておきましょう。


M&Aの重要ポイントはいくつか存在しますが、特に買収対象企業の財務状態は細かくチェックしておくべきです。

財務管理が十分にできていない会社を買ってしまうと、買収後に先ほど触れた簿外債務が発覚する可能性が高くなります。


また中小企業の経営者は会社の資産と個人の資産を分離していない場合もあり、M&A前に必ず財務状態はチェックしておきましょう。


具体的には廃業する会社を買う前にデューデリジェンス(DD)を実施して、財務状態の全体像をしっかりと把握しておくといいです。


なおDDを実施する際は、専門的な内容も多いため公認会計士や税理士などの専門家に依頼しましょう。


廃業する理由を明確に把握したか?

廃業する会社を買う場合は、必ず廃業を検討している理由を売り手企業に確認しましょう。


廃業する理由は、黒字経営だが後継者不足で廃業する、赤字経営でこれ以上債務を膨らませたくないなど、会社によって異なります。


つまり同じ廃業する会社を買うとしても、事情が異なるためM&A実行後のアプローチも変わってきます。


特に赤字経営の会社を買う場合は慎重になりましょう。この場合、なぜ赤字なのかを明確にしておく必要があるためです。


赤字の理由も企業により様々ですが、設備投資などの先行投資が多くなっている場合と、主力事業の不振で売上が下がっている場合では状況は全く異なります。


最終的には自分が納得できる理由が明確になれば問題ありません。


すでに債務超過している

会社が売りに出されている時に、すでに債務超過している会社を買う場合は特に注意しましょう。


そもそも債務超過とは会社の資産総額に対して、負債総額が上回っている状態のことです。


債務超過したままでは廃業することができないため、経営者としては会社の売却または破産手続きの二択になります。

確かに債務超過の会社は、売却価格が安いことや赤字を次期以降に繰り越せる繰越欠損金を計上して、節税対策ができるなどメリットもあります。


しかしこのような廃業する会社を買う場合、債務を返済する計画を念入りに立てておく必要があるでしょう。



まとめ

今回は廃業する会社を買うメリットを中心に解説してきました。


廃業する会社を買う場合の最大のメリットは、比較的安価でM&Aが実行できる点です。


加えて会社のノウハウや技術も引き継げ、ゼロから起業するよりもスピーディーに会社を大きくできます。


しかしその一方で、簿外債務があるなど注意点もいくつか存在します。この点はしっかり抑えておきたいですね。


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